かわら版-BULLETIN BOARD-

米子市公会堂

米子市公会堂から実施報告が届きました。

米子市公会堂 チラシ
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実施概要

主催:米子市・米子市教育委員会・米子市文化財団(米子市公会堂)
開催日:2017年3月4日(土)~5日(日)、入場者数392名
上映作品:「遠雷」「ロックよ、静かにながれよ」「櫻の園」「お引越し」

担当者の感想・要望

米子市公会堂では、優秀映画鑑賞推進事業を「米子なつかしの名画劇場」と銘打って上映会を開催しています。年に1回、今年で17回目を迎えました。
今年は、思い切って比較的新しい1980~1990年代のIプログラムを選びました。
Iプログラムを選んだご縁か、視察が来られ、「遠雷」「櫻の園」をプロデュースした岡田裕委員とも懇談させていただくことができました。また、岡田さんと、地元の米子シネマクラブ会長吉田明広さんとの対談も実現しました。

岡田裕×吉田明広 特別企画スペシャル対談PDF

米子市公会堂では、35ミリ映写機を所有していましたが、平成21年の耐震工事時にDVD・ブルーレイにきりかわりました。全国の会館でも同じだと思いますが、上映には、35ミリ映写機レンタル代と技師代が、予算の半分以上を占めるようになりました。印刷製本費をぎりぎりまで落とし、無料の媒体で宣伝広告を行うなど、苦慮しながら続けています。

今回、懇談の場で、おもに以下のことを要望しました。

  • ・宣材写真はカラーでお願いしたい。なぜカラー写真がないのか不思議に思う。チラシ、ポスターを作る際に苦慮する。
  • ・テレビスポットや情報番組の中で宣伝することがある。PVが欲しい。映画上映時に必ずPVが出されているが、これを活用させてもらうことはできないか。
  • ・映写機がないのでDVDで上映がしたい。DVDで借りることができないのか。
  • ・プログラムを積極的に変えてほしい。当館のように17回もやっていると、同じものを何回も上映することになる。
  • ・第一希望が当たらない。どのように選んでいるのか教えてほしい。

特に映写機がなく、フィルムの保管も館の負担であることからDVDでの貸し出しを希望しました。しかし、次の日の対談で(資料別紙)、岡田委員の話をきき、考えが変わりました。

  • ・35ミリフィルムの方が情報量が多く、特に照明等、見え方にこだわって作りこんでいること。
  • ・デジタル画像は「よく見える」がとても平面的。フィルム映画は、独特の質感があり、暗い映画館で鑑賞することで想像力がかきたてられること。
  • ・商業的、エンターテイメント的なシネコンの映画上映に対して、作りこまれたフィルム映画の製作や上映会が、日本映画の底辺を支えているということ。

正直、目からウロコでした。実をいうと、担当の私も、フィルム映画の上映会の良さをどのように市民の皆様にお伝えするか悩んでいました。本を読み、資料を探し勉強しましたが、いまいち実感が持てず困っていたところに、岡田さんの話が聞けて大変勉強になりました。映画製作の第一線で活躍してきた岡田さんがお話しされることは、すべて腑に落ち、納得ができました。地方の小さな映画上映会ですが、この小さな上映会が、日本映画の底を支えている一助になっていると思うと、とても誇らしい思いでいっぱいです。

今回は、このような貴重な機会をいただき、心から感謝をしています。
今後、米子市公会堂は、フィルム映画の上映にこだわって開催したいと思っています。

現場の担当者として、自分の口からフィルム映画上映の意義や良さを伝えられるのはとても大切なことだと感じました。今回のような機会を多く持ち、全国の担当者にフィルム映画を上映する意義をお伝えする機会を増やされてはどうでしょうか。

岡田裕さんプロフィール

岡田裕

文化庁優秀映画鑑賞推進事業委員会委員
アルゴ・ピクチャーズ株式会社代表
映画プロデューサー

1938年東京都生まれ。早稲田大学卒業。
1962年日活に助監督として入社。石原裕次郎、吉永小百合全盛時代に助監督を務め、1971年よりプロデューサーとして活躍。その後独立し、若い監督とともに日本映画界に新たな風を送り込むような多くの作品を製作。1989年アルゴ・ピクチャーズ株式会社を設立し、現在、代表取締役社長として映画界だけでなく、TV、オリジナル・ビデオほかあらゆる映像分野で製作活動を続けている。
主なプロデュース作品は『遠雷』(81)、『家族ゲーム』(83)、『お葬式』(84)、『櫻の園』(90)、『三たびの海峡』(95)、『福耳』(03)、『ベトナムの風に吹かれて』(15)など。

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