1966年 大映(東京)
白黒/シネマスコープ/モノラル(濃淡型)/150分
一人の医学部助教授の教授昇進をめぐって展開される、大学内部の権謀術数の世界を大胆に描いた、山崎豊子の同名小説の映画化作品。発表当時、医学界に波紋を投じた小説であり、近年テレビドラマ化もされ、ふたたび話題を集めた。この映画化では脚本を橋本忍が担当し、1950年代独立プロダクション運動などの活躍で社会派として知られる、山本薩夫が監督にあたっている。「白い巨塔」=「大学医学部」の欺瞞性が、山本監督一流の巧みな語り口で小気味よく暴かれ、痛快な作品となっている。野心に燃える助教授を演じた田宮二郎の魅力も、この作品の成功を支えており、俳優として記念すべき作品となった。山崎豊子原作、山本薩夫監督の同系列の作品に『華麗なる一族』(1974)、『不毛地帯』(1976)がある。「キネマ旬報」ベストテン第1位。