貸間あり

貸間あり

1959年 宝塚映画
白黒/シネマスコープ/モノラル/112分

解説

45歳で世を去った川島雄三監督の晩年の代表作であり、喜劇映画作家としての稀有な才能を存分に発揮した快作でもある。井伏鱒二の原作を、当時駆け出しのシナリオライターであった藤本義一と川島が奔放に脚色。遥か通天閣を見渡す大阪・天王寺の夕陽ヶ丘に立つ風変わりなアパートに暮らす、奇妙な住人たちの生態を、下品さと紙一重の人間臭い猥雑さのなかに描いている。何につけても器用で人から頼まれたら断れない性格、そのくせ素直になることを恥じて逃避してしまうフランキー堺演じるインテリの主人公は、まさに川島監督の自画像と言えるだろう。熟練のバイプレーヤーたちが、怒涛のように畳み掛けるアンサンブルも圧巻。この時代、川島監督とのコンビが多かった名手・岡崎宏三のキャメラが、破天荒なドラマを端正な画面のなかに収めている。

スタッフ

原作
井伏鱒二
脚本
藤本義一
脚本・監督
川島雄三
撮影
岡崎宏三
照明
下村一夫
録音
鴛海晄次
音楽
眞鍋理一郎
美術
小島基司

出演者

五郎
フランキー堺
ユミ子
淡島千景
お千代
乙羽信子
おミノ
浪花千栄子
ヤスヨ
清川虹子
洋さん
桂小金治