1961年 東映(京都)
カラ-/シネマスコープ
モノラル/151分
「忠臣蔵」あるいは「赤穂浪士」は、時代劇映画の中でも特別な位置を占めている。初めて映画となったのは、一説によれば1907(明治40)年12月に公開された『忠臣蔵五段目』、十一代目片岡仁左衛門の襲名を記念して撮影されたもののようである。これ以降、2010年の『最後の忠臣蔵』(杉田成道監督)や2019年の『決算!忠臣蔵』(中村義洋監督)まで膨大な数の「忠臣蔵」が作られてきた。映画製作会社にとっても、「忠臣蔵」はその発展ぶりを示す格好の題材であった。歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」をもとに、講談における義士銘々伝、浪曲における本伝、外伝など長い大衆芸能の伝統の中で、場面場面は洗練されており、個々の役柄に芝居の見せ場が用意されているからである。この『赤穂浪士』は、両御大と呼ばれた片岡千恵蔵、市川右太衛門、さらに大河内伝次郎、月形龍之介といった戦前からの時代劇スターに、登り坂の若手俳優を配して製作された東映の創立10周年記念映画である。