1958年 東映(京都)
カラー/シネマスコープ
モノラル/108分
時代劇の大スター、市川右太衛門の「映画出演300本記念」として製作された東映オールスター映画。彼自身が設立した「右太衛門プロ」で初めてこの『旗本退屈男』(古海卓二監督)を映画化したのは1930年のことである。主演俳優とともに息の長いシリーズものになり、その総数は戦前戦後を合わせて31本に達している。戦後のシリーズ再開は1950年。占領軍による時代劇の製作規制が緩和され、1951年に現在の東映が発足。右太衛門は、両雄と呼ばれた片岡千恵蔵とともに戦後時代劇隆盛の一翼を担っていく。豪華な衣装を身にまとい、天下御免の眉間の「三日月傷」と剣法「諸羽流正眼崩し」を駆使して胸のすく活躍をみせる、「天下の直参、早乙女主水之介(もんどのすけ)」は、右太衛門のはまり役として知られるばかりではなく、世間にはびこる悪を痛快に解決するヒーローとして広く長く大衆に支持された。