山椒大夫

山椒大夫

1954年 大映(京都)
白黒/スタンダード/モノラル(濃淡型)/124分

解説

溝口健二監督が、森鴎外の短篇小説を原作に中世荘園の奴隷制度における悲劇をリアリスティックに描き、ヴェネチア国際映画祭で『雨月物語』に続く二年連続の受賞に輝いた力作。原作では、姉安寿と弟厨子王は子どものままであるが、映画では成人してからの二人に重点が置かれるとともに、香川京子、花柳喜章という配役から、安寿を妹、厨子王を兄と設定を変えている。そもそも八尋不二による脚色は原作に忠実なものであったが、溝口監督の意向を受けた依田義賢が改訂にあたり、奴隷制度や奴隷解放といった社会的側面が強調されるシナリオになったという。とはいうものの、佐渡に売られ盲目となった母玉木を厨子王が捜し求めるという展開は、やはりこの監督特有の「母恋いもの」のモチーフと言えるだろう。宮川一夫の絶妙なカメラによる美しいシーンが随所に見られ、その乾いた画調には鬼気迫るものがある。

スタッフ

原作
森鴎外
脚色
八尋不二
依田義賢
監督
溝口健二
撮影
宮川一夫
照明
岡本健一
録音
大谷巌
音楽
早坂文雄
美術
伊藤熹朔

出演者

玉木
田中絹代
厨子王
花柳喜章
安寿
香川京子
平正氏
清水将夫
山椒大夫
進藤英太郎
太郎
河野秋武
曇猛律師
香川良介
藤原師実
三津田健
姥竹
浪花千栄子
吉次
見明凡太郎
仁王
菅井一郎
小萩
小園蓉子
坐女
毛利菊枝