五番町夕霧楼

五番町夕霧楼

1963年 東映(京都)
カラー シネマスコープ
モノラル 137分

解説

田坂具隆監督は戦前からのキャリアをもつ名匠の一人であり、『路傍の石』、『五人の斥候兵』(ともに1938)などの名作で広く知られている。地味ではあるが、堅実な作風はかねてから定評のあるところであるが、この作品においてもその長所を随所で認めることができるだろう。遊郭の佇まいや内部の造りなど、物語の背景に対して、田坂監督ならではの配慮がなされており、表現に厚みをくわえている点も見逃すことはできない。脚本家の鈴木尚之によれば、旦那と恋人のあいだで揺れる女の身体と心を描く官能的な場面の演出に先立ち、田坂は主演の佐久間良子に丁寧なメモ書きを与え、長く対話することで主人公の気持ちをすくいあげた演技指導をしたという。善良な遊郭の女将や娼妓といった設定は、この場合、意図的なものであり、そのことによって主人公・夕子の薄幸がより純粋に、観客に印象づけられるといえるだろう。「キネマ旬報」ベストテン第3位。田坂には同じ水上勉原作の映画化作品に『湖(うみ)の琴』(1966)がある。

スタッフ

原作
水上勉
脚本
鈴木尚之
脚本・監督
田坂具隆
撮影
飯村雅彦
照明
川崎保之丞
録音
内田陽造
音楽
佐藤勝
美術
森幹男

出演者

片桐夕子
佐久間良子
檪田清順
河原崎長一郎
女将 かつ枝
木暮実千代
夫 伊作
進藤英太郎
夕子の父 三左衛門
宮口精二
久子
丹阿弥谷津子
敬子
岩崎加根子
竹末甚造
千秋実
おみね
岸輝子
鳳閣寺和尚
千田是也
寺男
織田政雄
照千代
木村俊恵
お新
赤木春恵