洲崎パラダイス赤信号

肉弾

1956年 日活
白黒 スタンダード モノラル 81分

解説

この作品は、かつて洲崎遊郭と呼ばれた花街「洲崎パラダイス」に息づく女たちの生態を細やかに描いた芝木好子の原作を得て、1954年に松竹から移籍した川島雄三監督が映画化し、『幕末太陽傳』(1957)とならぶ日活時代の代表作となった。川島は、花街の手前にたたずむ小さな酒場「千草」とその周辺に舞台を限定しながらも、子ども二人とともに夫の帰りを待ち続ける酒場の女将・お徳(轟)のもとに、様々な境遇にある男女を次々と出入りさせることで、豊かな人間模様を描き出した。とりわけ、戦後の経済復興に沸き立つトラック運転手や、秋葉原でラジオ店を経営する羽振りの良い落合(河津)と、先行きの見えない義治(三橋)や蔦枝(新珠)らを視覚的に対照させることで、大人の男女の繊細な感情を浮き彫りにした。お徳の口添えで、人生に絶望しながらも何とか立ち上がろうとする義治を受け入れた蕎麦屋の可憐な女店員・玉子(芦川)や、その先輩店員・三吉(小沢)ら脇を固める登場人物の描写にも隙がない。また、1958年4月1日の売春防止法施行とともに姿を消した花街をはじめ、秋葉原の電気街や外神田界隈の街並等、今や失われてしまった東京の風景が、高村倉太郎カメラマンによって鮮やかに切り取られている。

スタッフ

原作
芝木好子
脚本
井出俊郎
寺田信義
監督
川島雄三
製作
坂上静翁
撮影
高村倉太郎
照明
大西美津男
録音
橋本文雄
音楽
眞鍋理一郎
美術
中村公彦
助監督
今村昌平

出演者

蔦枝
新珠三千代
義治
三橋達也
玉子
芦川いづみ
お徳
轟由起
落合
河津清三郎
三吉
小沢昭一
信夫
牧真介
伝七
植村謙次郎