おはん

おはん

1984年 東宝映画
カラー ビスタ モノラル 112分

解説

十年の歳月をかけて宇野千代が書き上げた昭和文学の古典的名作を、市川崑監督が、前作『細雪』で新たな女優像を獲得した吉永小百合を主演に迎えて映画化。本作で演技の幅をいっそう広げた吉永は、第8回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得し、女優としてさらなる飛躍を遂げた。この作品は、出来心から妻を捨てた男が、芸妓と元妻との間で揺れ動く心の迷いを、やがて迫りくる我が子の水死という因果応報的な世界観とともに描き出している。さらに要所でくり返されるマーラーの交響曲第5番第4楽章の旋律が、しっとりと情感のある画調に彩りを添えている。市川監督が原作を離れて演出したラストシーンにおいて、それまで従順であった元妻が浮かべる不敵な笑みは、独占欲の強い芸妓との性格の違いを解消して、二人がまるで一人の女性であるかのような印象を与える。「キネマ旬報」ベストテン第6位。

スタッフ

原作
宇野千代
製作・脚本・監督
市川崑
脚本
日高真也
製作
田中友幸
撮影
五十畑幸男
照明
望月英樹
録音
大橋鉄矢
音楽
大川新之助
朝川朋之
美術
村木忍

出演者

おはん
吉永小百合
おかよ
大原麗子
幸吉
石坂浩二
おばはん
ミヤコ蝶々
お仙
香川三千
長谷川歩
大工の棟梁
浜村純
富五郎(人形師)
常田富士男
半月庵の女将)
横山道代