乱れ雲

乱れ雲

1967年 東宝
カラー シネマスコープ
モノラル 108分

解説

事故とはいえ車で人をひき殺した青年商社マン、その事故のせいで突然エリート役人の夫を失った女。この二人の微妙に揺れ動く心理を、成瀬巳喜男監督は淡々としたカットを積み重ねることで的確に描き出していく。普通ならば交わることのない二人の関係を、『憎いあンちくしょう』(1962)などで知られる山田信夫の緻密な脚本を得て、成瀬監督はそれぞれの心の葛藤にまでメスを入れた、内面のドラマへと昇華させていった。そこに横溢しているのは、あっという間に崩れていく人間の生のはかなさであり、死の匂いである。東京から青森に舞台が移り、当初の深い憎しみが徐々に愛情に変わりはじめ、自らの理性と感情の相克に悩むという、難しい役柄を司葉子が好演し、彼女の代表作となった。映画がまだサイレントであった1930年に監督デビューし、その後87本もの作品を世に送った巨匠成瀬監督の遺作にふさわしい秀作である。

スタッフ

脚本
山田信夫
監督
成瀬巳喜男
製作
藤本真澄
撮影
逢沢譲
照明
石井長四郎
録音
藤好昌生
音楽
武満徹
美術
中古智

出演者

三島史郎
加山雄三
江田由美子
司葉子
四戸勝子
森光子
常務の娘 淳子
浜美枝
石川文子
草笛光子
林田勇三
加東大介
由美子の夫 宏
土屋嘉男
石川
藤木悠
藤原部長
中丸忠雄
武内常務
中村伸郎
葛西所長
小栗一也