おかあさん

おかあさん

1952年 新東宝
白黒 スタンダード モノラル 98分

解説

この作品は当時、全国の小学生から募集した作文をまとめた「おかあさん」をもとに、女流脚本家の第一人者、水木洋子が脚本化したものである。戦災で失ったクリーニング店をようやく再開したのもつかの間、夫は過労で病床に伏し、病弱な長男は息を引き取った。娘二人と幼い甥をかかえて懸命に働く母。そんな生活ぶりを長女の目を通して描いたこの作品は、日本映画のリアリズムの伝統を踏襲したものといえよう。淡々とした生活描写のなかで、母と店を手伝う昔の使用人との噂への反応や、密かに芽生える恋心など、思春期の少女の微妙な感情が、成瀬監督の丁寧で緻密なカットの積み重ねにより描かれ、独自の世界を築き上げている。主演の大スター田中絹代がこの翌年、初めての監督作品『恋文』を演出することになった時、成瀬監督に指導を仰げと助言をしたのは、溝口と小津の両巨匠であった。「キネマ旬報」ベストテン第7位。なお、同監督の『稲妻』も同年の第2位を獲得している。

スタッフ

原作
〈森永母を讃える会〉選定「全国児童綴方集」より
脚本
水木洋子
監督
成瀬巳喜男
製作
永島一朗
撮影
鈴木博
照明
佐藤快哉
録音
中井喜八郎
音楽
斉藤一郎
美術
加藤雅俊

出演者

福原正子
田中絹代
長女 年子
香川京子
平井信二郎
岡田英次
年子の弟 進
片山明彦
木村庄吉
加東大介
正子の夫 良作
三島雅夫
正子の妹 栗原則子
中北千枝子
年子のおばさん
三好栄子
伸二郎の母 みの
本間文子
小物屋 おせい
沢村貞子