あすなろ物語

あすなろ物語

1955年 東宝
白黒/スタンダード/モノラル/108分

解説

一人の少年が、複雑な人間関係の中で次第に成長していく様子を、桧(ひのき)に似ているが桧とは違い、明日は桧になろうと一生懸命になっている「あすなろう」という木に託して描いたものである。井上靖の自伝的要素の強い小説を映画化するにあたり、原作にある小学生と中学生時代のエピソードをそのままに、新たに高校生時代が加えられ、三話によるオムニバス構成になっている。これは長年黒澤明の助監督をつとめ、この後『裸の大将』(1958)や『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(1960)など秀作を発表した堀川弘通が監督に昇進するのを記念して、黒澤自身が脚色したものである。堀川監督の叙情性だけでなく、黒澤の資質をうかがえる点でも貴重な作品である。

スタッフ

原作
井上靖
脚本
黒澤明
監督
堀川弘通
撮影
山崎一雄
照明
石井長四郎
録音
下永尚
音楽
早坂文雄
美術
河東安英

出演者

鮎太(第一話)
久保賢
鮎太(第二話)
鹿島信哉
鮎太(第三話)
久保明
冴子
岡田茉莉子
雪枝
根岸明美
玲子
久我美子
大学生 加島
木村功
住職
小堀誠
とみ
浦辺粂子
玲子の母
村瀬幸子
鮎太の祖母
三好栄子
医大の助手 江見
太刀川洋一
竹内
高原駿雄
教師 佐山
金子信雄