二十四の瞳

二十四の瞳

1954年 松竹
白黒/スタンダード/モノラル/155分

解説

壷井栄が1952年に発表した児童小説を、当時気鋭の中堅監督であった木下惠介が脚色・監督した作品。小豆島の豊かな自然を背景に、戦争をはさんだ激動の時代を、小学校の教師とその教え子たちの成長を通して描き、国民的大ヒットとなった感動大作である。風光明媚な島の自然をとらえるために長期にわたるロケーションが行われたのはもちろんだが、セット撮影であることを感じさせず、「自然のように」見せる配慮が画面の隅々まで行き届いていることも見逃せない。小学唱歌のみを用いた音楽も特徴的である。木下はこの作品の成功で、一般には叙情派監督として大きく印象づけられることになった。冒頭の場面と同じく再び自転車に乗って、岬の分教場に向かう主人公、大石先生を小さく映し出すラストシーンには、毫も変わらぬ自然、その中を点景のごとく生きていく人間、そして人間の営みに対する木下の思想が集約されている。「キネマ旬報」第1位をはじめ、この年の映画賞を独占した。

スタッフ

原作
壷井栄
脚色・監督
木下惠介
撮影
楠田浩之
照明
豊島良三
録音
大野久男
音楽
木下忠司
美術
中村公彦

出演者

大石先生
高峰秀子
マスノ
月丘夢路
早苗
小林トシ子
松江
井川邦子
磯吉
田村高広
男先生
笠智衆
大石先生の母
夏川静江
男先生の妻
浦辺粂子
よろずや
清川虹子
飯屋のかみさん
浪花千栄子
校長
明石潮